ファミリーレストラン（以下、ファミレス）は、日本の外食産業において長年親しまれてきた業態である。リーズナブルな価格帯と多様なメニュー、気軽に利用できる雰囲気から、幅広い層に支持されている。しかし、その裏側で店舗運営を支える店長たちは、過酷な労働環境と報酬のバランスに悩みを抱えている。果たして、ファミレス店長の給料は世間的に見て「高い」のか「低い」のか。本稿では、統計データや業界構造、社会的評価を踏まえながら、その実態に迫る。
平均年収の実態
まず、ファミレス店長の平均年収を見てみよう。求人情報サイトや業界調査によると、ファミレス店長の年収は概ね350万円〜500万円程度が相場とされている。企業によっては、インセンティブ制度や賞与が加算されることで年収が600万円を超えるケースもあるが、それは一部の大手チェーンや優秀な店舗に限られる。
一方、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によれば、日本の正社員の平均年収は約500万円前後で推移している。これと比較すると、ファミレス店長の給料は「平均的」あるいは「やや低め」と言えるだろう。
ただし、ここで注意すべきは、店長職が「管理職」として扱われることが多く、残業代が支払われないケースがある点だ。実際には月間200時間を超える労働時間をこなしながら、手取りは月25万円前後という店長も少なくない。このような実態を踏まえると、時給換算ではかなり低い水準となる。
業務量と責任の重さ
ファミレス店長の業務は非常に多岐にわたる。売上管理、原価管理、スタッフの採用・教育、シフト作成、衛生管理、クレーム対応、店舗設備の保守、さらには本部との連携業務など、まさに“現場の経営者”としての役割を担っている。特に人手不足が深刻な昨今では、店長自らがホールやキッチンに立つことも日常的である。
このような膨大な業務量と責任の重さを考慮すると、現在の給与水準は「割に合わない」と感じる人が多いのも無理はない。実際、SNSや転職サイトの口コミでは「激務なのに給料が安い」「休日も電話が鳴る」「精神的に限界」といった声が多数見受けられる。
他業種との比較
では、他業種の店長職と比較するとどうだろうか。例えば、コンビニ店長の平均年収は300万円〜450万円程度とされており、ファミレス店長と同水準かやや低めである。一方、アパレルや家電量販店などの小売業店長は、年収400万円〜600万円程度とされ、インセンティブ制度が充実している企業では700万円を超えることもある。
また、IT業界や製造業などの管理職と比較すると、ファミレス店長の報酬は明らかに低い。これらの業界では、専門性や技術力が評価されるため、年収800万円以上の管理職も珍しくない。
このように比較すると、ファミレス店長の給料は「業務量に対して低い」「他業種と比べて見劣りする」と言えるだろう。
給料以外の報酬
ただし、報酬とは必ずしも金銭的なものだけではない。ファミレス店長には、店舗運営を通じて得られる達成感や人材育成の喜び、地域とのつながりなど、非金銭的な報酬も存在する。特に、若手スタッフが成長していく姿を見守ることができるのは、大きなやりがいの一つだ。
また、店舗運営を通じてマネジメント力、問題解決力、コミュニケーション力など多くのスキルが磨かれ、将来的なキャリアアップにもつながる。優秀な店長はエリアマネージャーや本部職への昇進の道も開けており、長期的には報酬が改善される可能性もある。
今後の展望
近年、外食産業では働き方改革の流れを受けて、店長職の待遇改善が進められている。シフトの柔軟化、業務の分担、ITツールの導入による効率化などが進めば、店長の負担は軽減され、報酬とのバランスも改善されるだろう。
また、企業によっては「店長職の専門職化」や「複数店舗の統括マネージャー制度」など、新たなキャリアパスを提示する動きも見られる。これにより、店長職が単なる“現場の責任者”ではなく、“戦略的な経営人材”として位置づけられる可能性もある。
結論：給料は「低め」だが、可能性はある
総じて言えば、ファミレス店長の給料は世間的に見て「やや低め」であり、業務量や責任に対して十分とは言えない。しかし、非金銭的な報酬やキャリアアップの可能性を含めれば、決して「報われない職業」ではない。今後、業界全体が働き方と報酬体系を見直すことで、店長職の価値が再評価されることを期待したい。
ちょっと調べてみると面白い（笑）